インタビュー・対談シリーズ『私の哲学』
私の哲学Presents
第77回 石川 奈穂子 氏

女性が輝き続けるために必要な、健康食品を生み出すスペシャリストである、石川奈穂子氏。年齢を感じさせない美しい氏の、情熱の源泉に触れました。

Profile

77回 石川 奈穂子(いしかわ なほこ)

シックスセンスラボ株式会社 代表取締役
1965年福岡県生まれ。大学を卒業後、株式会社リクルートに入社。企画営業にて実績が認められ、数々の社内表彰を受ける。その後、リクルート専属広告代理店として独立。2008年にシックスセンスラボ株式会社を設立し、女性のためのサプリメントの開発を開始。主力商品であるユーグレナセサミンプラス「いのちのユーグレナ 極み」は多くの人に支持されている。2015年、九州大学ビジネス・スクールの成長志向MBAプログラムを修了。

生きかたの土台

大学は英文科でしたが、勉強よりもアルバイトばかりしていました。選挙活動の事務局、コールセンター、イベントスタッフなど。いろいろな経験をしたいと思って、毎シーズン異なるアルバイトを敢えて選んでいましたね。それが人生の知恵と行動につながっているのは確かです。 20歳のときに、自動車学校の補講費を稼ぐために中華料理店でアルバイトをしたのですが、500種類以上あるメニューの日本語と中国語の両方すべてを暗記しなくてはならなかったんです。2ヶ月だけのアルバイトなのに、「それができないなら辞めさせる」と。とにかく必死に覚えました。その後アメリカにホームステイした際、友人たちとサンフランシスコの中華街へ食事に行ったときのことです。漢字で書かれたメニューをどれも説明してあげることができました。その時、「全力で打ち込んだことは何であろうと、必ず役に立つんだ」と確信しました。もともと、“目の前にあることを一生懸命に”がモットーでしたが、それから何かする度に、ますます真剣に考えて全力投球するようになりました。

「自ら機会を作り出し、機会によって自らを変えよ」のDNA

リクルートに入社したのは、情報産業って面白そうだなという好奇心から。リクルートでの経験、考え方は今でも私のDNAの中で生き続けています。リクルートは新卒の若造が、社長の考え方やビジョンを直接聞ける素晴らしい機会に恵まれた会社でした。とは言え、飛び込み営業はなかなか厳しい。「1日30枚の名刺をもらうまで帰ってくるな」と言われていましたから。 あるとき出会った方に、「お前、飛び込みマシンだな」と言われて。そこで“企画営業”という肩書きを二重線で消して、代わりに“飛び込みマシン”と書き換えて営業に回り始めたら、昨日までは門前払いだったのに、受付の女性が責任者につないでくれるようになったんです。クスッと笑いながらね。人と違うことを勇気を持ってやれば状況が変わることに気づき、“知恵と行動が大切”と考えるようになりました。「たくさん営業に来るから、顔が覚えられない」と言われれば、名刺に顔写真を貼って翌日すぐ届けに行くなど、先方の言葉や状況をすかさずキャッチし、工夫を重ねることでピンチをチャンスに変えていけるようになりました。 ある程度お客様を持てた頃、仕事の幅を広げたいと、当時の仲間と3人で独立。リクルートの専属代理店として、広告代理業をスタートしました。リクルート時代のお客様が100%ついてきてくださったことは本当にありがたく、自信にもつながりました。

すべての女性が輝くために必要なもの

『シックスセンスラボ』を立ち上げたのは、次女が1歳のとき。私は42歳でとても若気の至りとは言えない年齢でした(笑)。年齢に関係なく、いくつからでもチャレンジできると思うんです。事業選択のきっかけは、長女の誕生でした。生まれながらにしてひどいアトピー性皮膚炎を患っている娘を見てはじめて、自分が健康に対して無頓着な生活をしていたことに気づき、深く反省しました。そこで、食や健康に関するサプリメントについて調べ始めたのですが、当時、健康食品会社は経営者のほとんどが男性。商品の中身より、パッケージや利益重視。女性の求めているものをわかっていない、と腹立たしく思いました。 “すべての女性に年齢に関係なく、イキイキと生きてほしい。歳を重ねるごとにもっと美しく、女性の一生が素敵に輝いてほしい” 。そこで私は、女性のカラダが真に求めているもの、年齢に伴う女性の変化に寄り添える、本物のサプリメントを作りたいと考え始めました。そんな時たまたま“ユーグレナ”を知り、世界で初めてユーグレナの培養に成功した出雲充社長に手紙で熱烈なラブコールを送ったところ、トントン拍子でユーグレナサプリメントの開発をスタートすることができました。それが現在弊社の主力商品となった、「いのちのユーグレナ 極み」です。 女性の健康を真剣に考えた効能重視の商品開発だったから、反応はものすごく良かったですね。さらに、女性は健康も大切だけれど、見た目に自信がないと背筋を伸ばして生きていけないと感じ、原材料にこだわりを持つことで有名な製薬会社さんにまたまたラブコールを送って、安心できる材料で糖質制限ができるダイエットサプリメントの開発を進めました。糖質吸収のメカニズムを研究し、糖質を分解させない、吸収させない、燃焼させる、を可能にした 糖質制限 ダイエットサプリメント、「幻糖美人カットカット」は美しいスタイルを求める多くの女性に喜んでいただいています。 “健康になれる、美しくなれる、そして安全である”。メーカーさんに熱い思いを語って商品づくりに取り組むのですが、大切なのはエビデンスと実際に試して納得できるかどうか。だから、開発に携わる社員だけでなく、カスタマースタッフも含めて全員で商品を試します。「これは駄目だね」と、却下した サプリメントもたくさんあります。中には2年以上かかって誕生したサプリメントもあります。

思いを形にする生き方

経営者として一番嬉しかったことは、私がいつも伝えている言葉を使って、マネージャーがスタッフを指導しているのを見たときです。社員には企業ビジョンに基づき、年に3回、個々の目標設定を提出してもらっています。それに対しマネージャーがコメントを入れ、4カ月過ぎたときに振り返りを行っていますが、そこに書かれたマネージャーのコメントが泣けました。女性としての生き方や仕事の目的など、私が普段から伝えていることがちりばめられていて。そのとき、「ああ、みんな、成長してくれている」と思ったんです。 育児の経験も、社員教育にとても役に立っています。例えば、手を貸し過ぎず、自分で考えて行動させること。ただし、何か尋ねてきたときには目的を明確に示し情報を与える。これは、自分が学生時代から一つひとつのことに全力投球するために“考えて行動する”ことで、“思いを形にする”というスキルが育ったことに起因しています。 私自身も、仕事と母親業と女性であること、この3つをすべて輝かせるために120%の力を注いでいます。“歳を重ねる、美しく生きる、オンナの一生は素敵”。 おばあさんになってもこんなメッセージを送れる人でありたいと思います。

杉山大輔さんとの出会いのきっかけは、ニューヨークで開催された「第60回グラミー賞」の展示会のプロデュースをお願いしたことでした。とにかく仕事が早い。無駄がない。今、必要なことは何かをものの一瞬で判断し、即座に動く。その判断力、行動力は目からうろこでした。さらに物応じしない性格と、意外にも謙虚な性格(笑)が、豊富な人脈につながっているのでしょうね。 毎日、目の前のことをがむしゃらに生きてきただけに、昔を振り返る余裕もなかったのですが、杉山さんに取材いただくことで、私はこんな考え方、生き方を大事にしてきたんだ、こんなことにこだわり生きてきたのだと、思い起こすことができました。この機会は、私自身のモチベーションを高め、これからの会社経営、何よりも経営者としてあるべき姿を考えるとても貴重な経験となりました。心より感謝申し上げます。

シックスセンスラボ株式会社 代表取締役 石川 奈穂子


英語で“wear many hats”は、「様々な役割を担うこと」を意味します。僕は両親にとって息子であり、姉妹にとっては弟であり兄であり、家庭では夫であり父親であり、社会においては経営者であるように、人は様々な役割を担っています。そこで大切なのは、相手がいるから自分の役割があるということです。石川奈穂子さんは、僕がいつも軸としている考え方、「二兎を本気で追う者は二兎を得る」活動をされています。経営者として母として一人の女性として、全力で活動している体験談は印象的でした。 シックスセンスラボの目玉商品である、砂糖の吸収をブロックする「カットカット」は僕の周りの女性陣の間で大ヒットしています。僕も使っていますが、ジムだけではなくサプリを活用して痩せられるんだと実感しました(笑)。

『私の哲学』編集長 DK スギヤマ

2018年2月 シックスセンスラボ株式会社にて ライター: MARU 撮影:日高 康智